ビジネスフレームワークとは、考えや情報をまとめたり、新しいアイデアを創出するための整理術です。事業の分析や新規事業の検討、マーケティング戦略の検討などのビジネスシーンで使うことで、抜け漏れを防ぎながら、スピーディーに仕事を進めることに繋がります。
様々な情報が入り混じる中で正しく意思決定を行なうことが求められるビジネスシーンにおいて、フレームワークを正しく使うことで、ロジカルな説明がしやすくなるため、コンサルティングファームや新規事業企画などで使われることが多いです。
今回は、よく使われる代表的な7個のフレームワークについて、使い方のアドバイスを交えつつ、まとめてご紹介します。
ビジネスフレームワークとは?
ビジネスフレームワークとは、事業の分析や新規事業の検討、マーケティング戦略の検討などのビジネスシーンで、考えや情報を効率的にまとめたり、新しいアイデアを創出するための整理術です。代表的な例として、事業環境を分析する際によく使われる3C分析や、活動内容を具体的に整理する際に便利な5W1Hなどが、挙げられます。
フレームワーク(framewark)という英単語が「枠組み」「骨組み」「構造」などと和訳できる言葉であることを踏まえると、ビジネスフレームワークはビジネスシーンで考えや情報を整理する枠組み、くらいのイメージを持って頂ければよいと思います。
ビジネスフレームワークとは何か?について、他のサイトでの説明を、以下に転記します。
フレームワークとは、汎用的に用いられるMECEの切り口。3Cや4P、ビジネス・システムなどがある。
フレームワークを理解し、考えるチェックリストとして利用できれば、大きな視点を見失わず、見落としを防ぎながら、効率よく分析や解決策の立案を行える。また、有名なフレームワークを使えば、コミュニケーションの際にも説明が省けるというメリットがある。
ビジネスフレームワーク – 経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールや思考の枠組み。MBAなどで教わることが多く、ビジネスに必要とされるロジカルシンキングや発想法などを体系的にまとめたもの。SWOT分析、ファイブフォース分析などが挙げられる。
様々なフレームワークが広まりつつある一方で、「結局どうやって使っていいか分からない」という声もよく耳にします。
今回は、使う目的やシーン別に、代表的なフレームワークの概要を、使い方のアドバイスを交えながら説明します。
事業戦略を考えるためのフレームワーク
事業環境分析(外部環境 & 内部環境)
3C分析(サンシー分析)
目的:主に自社の戦略を考えるために、外部環境と自社についての情報を整理すること。
概要:3C、つまり「市場(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」の情報を整理するもの。
使い方など:
- 市場、競合、自社の順番に整理すると使いやすいと思います。
- 狙っている市場に、どんなターゲットセグメントがいて、どんなニーズを持っているか?
- 競合は、そのニーズに対して、どんな方法でアプローチしているのか?
- 自社は、自社は、そのニーズに対して、どんな方法でアプローチをしているのか?そのアプローチは競合と比べてどのような違いがあるのか?
- 整理した市場、競合、自社の情報を踏まえて、自社の戦略を検討する。
- 例えば、競合が上手くアプローチできていないターゲットセグメントやニーズを狙うとか、自社の強みを活かして競合よりも魅力的なプロダクトを提供するとか
SWOT分析(スウォット分析)
目的:主に自社の戦略を考えるために、外部環境と自社についての情報を整理すること。
概要:自社の「強み(strengths)」と「弱み(weaknesses)」、外部環境の機会(opportunities)」と「脅威(threats)」に関する情報を整理するもの。
使い方など:
- 正直、使いにくい。SWOT分析を使うなら、3C分析やPEST分析、5F分析の方が使いやすいと思います。
- 使いにくい理由は、強みと弱み、機会と脅威は、自社と比較する競合次第で認識が変わってしまうからだと考えています。
- もし使うなら、前提としての競合を定義することが必要だと思います。
- 強みと弱み、機会と脅威を整理した上で、各要素を掛け合わせを通じて、示唆を考える、という形で使うのが良いと思います。この手法は、「クロスSWOT分析」と呼ばれています。
- 「強み×機会」「強み×脅威」「弱み×機会」「弱み×脅威」
バリューチェーン分析
目的:事業における強み・弱みの源泉や、特定産業における魅力的な市場を考える上で、事業活動を機能ごとに分けて、情報を整理すること。
概要:事業活動を構成する機能ごとに、情報を整理するもの。
使い方など
- 強みや弱みを考えるために使うときには、コツが必要。
- 意味のある分析にするためには、事業活動をどのような機能に分けるのか、が非常に大事。
- 事業活動をどのような機能に分けるのかイメージできない場合は、「業種 バリューチェーン」でググると、参考になる情報が出てくることが多い。
- また、強み・弱みを出すという意味で、競合など比較対象に関する情報も、自社と並べて整理すると使いやすい。
- 「自社事業の課題は、この機能であり、競合と比べても弱い」などの結論ありきで、それを表現するためのテクニックとして使うことが多い印象。
- 特定の産業における魅力的な市場を考えるために使うときは、ゼロから考えないことがポイント。
- 「産業名 カオスマップ」「産業名 事業構造」「産業名 レイヤー」などのキーワードでググると、参考になる情報が出てくることが多い。
- その情報だけでは不十分の場合は、不足する情報を収集して追記する形で作業するのが効率的。
事業環境分析(外部環境)
PEST分析(ペスト分析)
目的:中長期的にどのようなビジネスチャンスや事業リスクがあるかを考えるために、マクロ環境についての情報を整理すること。
概要:PEST、つまり「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の情報を整理するもの。
使い方など:
- 中期戦略などを検討する際に、前提を整理するために使うイメージ。
- 中長期的(感覚的には10年以上の時間軸)に起こる環境変化を整理することを意識する。
- 整理する情報をイメージした上で、その情報を収集するための情報源を整理する。
- 政治なら、各省庁のホームページとか
- 経済なら、内閣府のホームページとか
- 社会なら、厚生労働省のホームページとか
- 技術なら、特定業界に関する本とか
- 専門家や有識者へのインタビューなどを活用することもあります
- 情報源の中から、市場全体に影響を及ぼすような情報を抽出する。
- 政治の例を挙げると、カジノ産業におけるIR整備法
- 経済の例を挙げると、ラグジュアリー市場における景気動向
- 社会の例を挙げると、ベビー用品市場における出生数や婚姻件数
- 技術の例を挙げると、デジカメ市場におけるスマホの機能(ちょっとイマイチですが…)
- 整理した情報から、市場全体が拡大・縮小するのか?、細分化・二極化・収れんするのか?、競合が増えたり強くなったりするリスクはあるのか?などの示唆をまとめる。
- 比較的、抽象的な内容になりがちなので、資料としてまとめるときには、上司などの関係者と内容のすり合わせをしながら進めることがおすすめです。
5F分析(ファイブフォース分析)
目的:特定の市場の魅力度を評価するために、競争環境に構成する5つの要素についての情報を整理すること。
概要:「業界内の競争」と、その業界を取り巻く「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」を合わせた5つの要素について、情報を整理するもの
使い方など:
- 中期戦略などを検討する際に、前提を整理するために使うイメージ。
- 分析する対象の市場を踏まえた上で、5つの要素にそれぞれ何の情報を記載するか決めて、情報を収集する。
- 例えば、RTD(Ready to Drink≒缶チューハイ)市場だとすると…
- 業界内の競争:現在RTDを製造している他社メーカーとの競争
- 新規参入の脅威:清涼飲料メーカーなどの動向
- 代替品の脅威:テーブルワインや炭酸水、ジュースメーカーの動向など
- 売り手の交渉力:大手スーパーやコンビニエンスストア、ECの動向など
- 買い手の交渉力:原料や包材のサプライヤーの動向など
- 集めた情報に基づいて5つの要素の影響度を評価するときは、〇△×くらいの感覚で整理すると使いやすい印象。
事業環境分析(内部環境)
ビジネスモデルキャンバス
目的:主に自社の新規事業の検討、既存事業の見直しのために、ビジネスの構成要素についての情報を整理すること。(競合の分析に用いることもあります。)
概要:ビジネスモデルを構成する9つの要素について情報を整理するもの。
使い方など:
- パワーポイントやエクセル、白い紙に、ビジネスモデルキャンバスの枠を用意する。
- 「どんな悩みを抱えるセグメントに、どんな提供価値を届けるか?」を意識して、以下の2つの構成要素を埋める。
- 顧客セグメント(Customer Segments)
- 提供価値(Value Propositions)
- 「その提供価値を実現するために必要なモノや活動、パートナーは何か?」を意識して、以下の3つの構成要素を埋める。
- リソース(Key Resources)
- 主要活動(Key Activities)
- パートナー(Key Partners)
- 残り4つの構成要素を、書きやすい順番で埋める。
- チャネル(Channels)
- 顧客との関係(Customer Relationships)
- 収益の流れ(Revenue Streams)
- コスト構造(Cost Structure)
- 埋めた9つの構成要素について、全体の整合性や一貫性を考えながら修正する。
アンゾフのマトリクス
目的:経営戦略の検討などに資する戦略の方向性の整理
概要:製品と市場を、それぞれ既存と新規に分けて、4象限のマトリクスを設け、各象限に該当する戦略の方向性を整理するもの。
使い方など:
- 資料作成時には、あまり使わない印象。
- 戦略に関するディスカッション、自分やチームの考えの整理を行なう際に使いやすい。
【まとめ】ビジネスフレームワークの価値を引き出すために
ビジネスフレームワークという整理術は、非常に便利なツールです。
非常に便利なのですが、一方でツールでしかないため、知っているということだけでは意味はなく、使いこなすことによって意味が生まれるものです。
使ってみなければ使い方が分からない部分があるのが難点ですが、だからこそ、まずはご自身のお仕事に取り入れて積極的に使ってみることをおすすめします。