PEST分析とは、マクロ環境を分析する際に用いるビジネスフレームワークの1つです。
今回は、PEST分析の概要、使う目的、やり方、事例(コンサル作成の資料)についてまとめました。
PEST分析とは?
PEST分析(ペスト分析)とは、中長期的にどのようなビジネスチャンスや事業リスクがあるかを考えるために、マクロ環境についての情報を整理するフレームワークの一つです。
フレームワークの名前になっているPESTは、「Politics(政治的要因)」「Economy(経済的要因)」「Society(社会的要因)」「Technology(技術的要因)」の4つの頭文字であり、これらの4つの切り口で情報を整理するものです。
他のサイトでの記載されている定義について、以下に転記します。
PESTとは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)という4つの視点で、その変化とビジネスに与える影響を読み解くフレームワーク
PEST分析 (PESTぶんせき、英: PEST analysis)とは、政治的 (Political)、経済的 (Economic)、社会文化的 (Socio-cultural)、技術的 (Technological)の頭文字を取ったもので、経営戦略論における環境スキャニングで使用されるマクロ環境要因のフレームワークのこと。これは、戦略的分析または市場調査を行う際の外部分析の一部であり、考慮すべきさまざまなマクロ環境要因の概要を示す。これは、市場の成長または衰退、事業のポジショニング、可能性と方向性を理解するための戦略的ツールである。
出典:フリー百科事典 ウィキペディア日本語版 PEST分析 2021年9月23日14時(日本時間)現在での最新版を取得。
PEST分析の使う目的は?やり方は?
PEST分析の目的は、分析対象の事業において、中長期的にどのような変化が起きて、その結果どのようなビジネスチャンスや事業リスクがあるかを導き出すというものです。
目的を常に頭の片隅に起きながら、情報を整理することが、非常に大切です。
具体的なやり方としては、調べる項目を決める、(調べる項目に関連する)情報源をリストアップする、情報源の中から関連情報をピックアップする、まとめた情報から示唆をまとめる、というイメージです。
具体例を交えつつ、以下にステップをまとめます。
調べる項目を決める
- 主な項目の例
- Politics(政治的要因):法整備、法改正、税制変更の動きなど
- Economy(経済的要因):景気動向、物価、消費動向、為替、経済成長率の変化など
- Society(社会的要因):人口動態変化、世帯変化など
- Technology(技術的要因):新技術開発、特許、テクノロジー普及状況など
(調べる項目に関連する)情報源をリストアップする
- 主な情報源の例
- Politics(政治的要因):各省庁のホームページなど
- Economy(経済的要因):内閣府、総務省のホームページなど
- Society(社会的要因):厚生労働省、総務省のホームページなど
- Technology(技術的要因):特定業界に関する本など
(情報源から)関連情報をピックアップする
- 一例として、フリマアプリ事業を想定して、ピックアップする情報のイメージを記載すると…
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- 政治の例を挙げると、SDGs対応の推進など
- 経済の例を挙げると、消費の二分化の進行など
- 社会の例を挙げると、少子高齢化の進行など
- 技術の例を挙げると、世代を問わないスマホ利用の普及など
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情報から示唆をまとめる
- 市場全体が拡大・縮小するのか?、細分化・二極化・収れんするのか?、競合が増えたり強くなるなどのリスクはあるのか?などの示唆をまとめる。
- なお、上記のフリマアプリ事業に関連する情報をベースにすると、「国によるサステナ消費の後押し」、「消費者におけるメリハリ消費の進行」、「生活の見直しを図るシニア世代の拡大」、「シニア世代のスマホ普及の浸透」などから、手頃にリユース商品をスマホから購入できるフリマアプリ事業は更なる伸長が見込まれる、という示唆が出る…かもしれません。
- あくまでイメージで記載していますので、気になる方はご自身でPEST分析をトライして頂き、分析結果を教えて頂ければ適宜内容アップデートします。
ちょっとしたコツ
既に、証券会社やコンサルなどが分析したレポートや白書などがネット上に落ちていることもあるので、作業する前にググってみるのもおすすめです。
PEST分析の事例
実際にコンサルティングファームがPEST分析を使っている資料を紹介します。
「PEST分析」と明言せずに、フレームワークを使うあたりが、コンサルティングファームのプライドという感じです。しかし、フレームワークに理解が薄い職場では、PEST分析の説明をしてから、フレームワークを使う方が理解や納得を得やすい場合もあるので、状況によって使い分けをするのが良いと思います。
事例1. 経済産業省「日本の中長期ビジョンの検討に関する調査」
2017年に経済産業省が中長期的な政策検討に繋げるための情報整理を行なっています。(ボストンコンサルティングの報告書で、全部で431ページ!すごい!)
本資料では、PEST分析をベースに、複数の未来像を整理するシナリオプランニングまで行なっています。
事例2. 経済産業省「世界のコンテンツ市場の現状と展望に関する調査」
2019年に経済産業省の商務情報政策局が、映像や音楽、ゲームなどのコンテンツ関連企業の経営判断に繋がる情報提供を目的に整理した資料のようです。(PwCが作成した資料です。)
データが多い資料となっている一方で、示唆は何だろう?と感じる資料になっています。
PEST分析などのビジネスフレームワークを身につけるために
今回は、PEST分析の概要、使う目的とやり方について、説明しました。
少しでも参考にしていただけると嬉しいです。
PSET分析を含め、ビジネスフレームワークをまとめた良書もたくさんあります。
これらを参考にすることも、理解を深める良い方法だと思います。
気になる方はチェック頂ければと思います。