TAM、SAM、SOMとは?意味や活用方法、計算方法を解説(具体例あり)

ビジネスフレームワーク

ビジネスの成長戦略を立案する上で重要な要素の一つが市場のサイズとポテンシャルの評価です。そのために使われるのが「TAM」「SAM」「SOM」という指標です。
この記事では、TAM SAM SOMの意味と活用方法について解説します。

TAM SAM SOMの概要

まずは、TAM、SAM、SOMのそれぞれの意味を確認しましょう。

TAM(Total Addressable Market)

ある製品やサービスが想定できる最大の市場規模を指します。TAMは、地理的、デモグラフィック、経済的な要素などを考慮して、製品やサービスが潜在的にリーチできる全体の市場規模を見積もります。

SAM(Serviceable Available Market)

TAMの中で、実際に自社の製品やサービスでカバーできる範囲の市場規模を指します。つまり、自社のリソースや競争力を考慮して、取り組むべき市場の範囲を特定します。

SOM(Serviceable Obtainable Market)

自社が現実的に獲得可能な市場規模を示します。市場の競争状況や販売戦略、市場の成熟度などを考慮して、実際に自社が取り組める市場の範囲を見積もります。

TAM、SAM、SOMの違い

TAM、SAM、SOMの違いを明確に理解することは重要です。
TAMは最大の市場規模を示すのに対し、SAMは自社の能力範囲内の市場を指し、SOMは現実的に獲得可能な市場を示します。
これらの指標は、戦略立案や市場参入の判断において重要な役割を果たします。

また、TAMは事業の拡大や新たな市場への進出の可能性を示す際にも活用されます。
一方で、SAMとSOMはリソースの配分や市場開拓戦略の立案において重要な役割を果たします。
TAM SAM SOMを正しく把握することで、自社のビジネス戦略をより具体化し、成果を最大化することができます。

事例|実ビジネスにおけるTAM、SAM、SOMの捉え方

ケース1: ヘルスケア企業のA社

A社は、ヘルスケア業界に特化した新しい医療機器を開発しています。
TAMの視点から見ると、世界中のヘルスケア市場は巨大であり、需要が高いことがわかります。
しかし、A社はまだ規模が小さく、資源に限りがあります。
そのため、SAMとしては、特定の地域や特定の医療施設をターゲットにし、需要が高い市場を絞り込みます。
そして、SOMとしては、まず地域Aの特定の病院やクリニックをターゲットにして市場参入を図ることを決定します。

ケース2: オンライン教育プラットフォームのB社

B社は、オンライン教育プラットフォームを提供しています。
TAMの視点から見ると、世界中には数億人以上の学習者がいますが、競争も激しくなっています。
そこで、B社はSAMとして、特定の言語圏や特定の教育レベルを持つ学習者をターゲットにします。
また、SOMとしては、最初は自社のサービスを特定の地域の学校や企業に提供し、その成功を基にして徐々に市場を拡大していく計画を立てます。

TAM、SAM、SOMの計算方法

TAM、SAM、SOMを計算するためには、市場のデータやマーケットリサーチの結果を活用する必要があります。
一般的な計算方法は以下の通りです。

TAMの計算方法

  1. 対象とする市場の総人口や企業数などの統計データを収集します。
  2. その中で、自社の製品やサービスがターゲットとする層やセグメントを特定します。
  3. ターゲットとする層やセグメントの割合を算出し、それを全体の統計データに適用してTAMを算出します。

SAMの計算方法

  1. TAMの計算と同様に、対象とする市場のデータを収集します。
  2. 自社のリソースや能力を考慮し、実際にカバーできる範囲を特定します。
  3. TAMに対する自社の市場占有率を算出し、それをTAMに乗じてSAMを算出します。

SOMの計算方法

  1. SAMの計算と同様に、TAMと自社の市場参入能力を考慮したデータを収集します。
  2. 市場の競争状況や市場の成熟度、販売戦略などを考慮して、自社が実際に獲得できる市場の割合を見積もります。
  3. SAMに対する自社の市場占有率を算出し、それをSAMに乗じてSOMを算出します。

TAM、SAM、SOMの試算時の武器=フェルミ推定

TAM SAM SOMを算出する際に、正確な市場データを得ることは難しい場合があります。
そのような場合には、フェルミ推定と呼ばれる手法を用いることがあります。
フェルミ推定では、一定の仮定や推定値を基に市場規模を推計します。

フェルミ推定の手順は以下の通りです。

  1. 対象とする市場の要素を分析し、市場を構成する主な要素を特定します。
  2. 各要素の推定値や仮定を設定します。たとえば、対象市場の総人口や所得レベル、競合他社の市場占有率などです。
  3. 設定した推定値や仮定を基に、市場規模を推計します。この際、複数のシナリオや仮定を考慮して、幅広い範囲の推計値を得ることが望ましいです。

TAM、SAM、SOMの重要性と活用方法

TAM、SAM、SOMは、ビジネス戦略の立案や市場参入の判断において重要な役割を果たします。
これらの指標を正確に把握することで、以下のようなメリットがあります。

ビジネス成長のポテンシャルを評価

TAMは市場の全体的なポテンシャルを示し、SAMは自社のリソースと競争力を考慮した市場の範囲を示します。
SOMは実際に獲得可能な市場を示し、ビジネスの成長戦略の方向性を明確にするための指標となります。

リソースの適切な配分

SAMとSOMを把握することで、限られたリソースを最適に活用するための判断材料となります。
自社の能力や資源に合わせて、最も効果的な市場セグメントや地域を特定し、投資やマーケティングのリソースを適切に配分することができます。

市場参入戦略の立案

TAM SAM SOMを考慮しながら、市場参入戦略を立案することが重要です。
SAMやSOMの範囲内において、競合他社との差別化や顧客ニーズへの適応を図ることで、市場での競争力を高めることができます。

投資判断の基準

投資家やベンチャーキャピタルなどがビジネスプランや成長戦略を評価する際にも、TAM SAM SOMは重要な要素となります。
市場のポテンシャルや自社の市場占有率の見積もりに基づいて、ビジネスの成長性や投資リターンの予測が行われます。

まとめ

TAM、SAM、SOMは、ビジネス戦略の立案や市場参入の判断において重要な指標です。
TAMは最大の市場規模を示し、SAMは自社の能力範囲内の市場を指し、SOMは現実的に獲得可能な市場を示します。
これらの指標を正しく把握し、ビジネス戦略の方向性やリソースの配分、市場参入戦略の立案に活用することで、ビジネスの成果を最大化することができます。

本記事では、TAM、SAM、SOMに関する基本的な内容と活用方法について解説いたしました。
新規事業の検討や戦略の立案において、TAM SAM SOMを適切に活用して頂けると幸いです。

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